会計帳簿の書き方や基本の流れを初心者に分かりやすく解説

目次
個人事業主は毎年確定申告をしなければなりません。
これはその一年の収入、支出などから税金を計算するものです。
確定申告の書類を作成するためには会計帳簿を作成する必要があります。
会計帳簿とはどのようなものなのか、どうして会計帳簿を作成する必要があるのか、そして会計帳簿の基本的な作成方法について解説します。
会計帳簿をつけるべき3つの理由
お金の管理が面倒だったり、会計帳簿をつけることを煩わしく思っている事業者も多いですが、会計帳簿をつけるべき理由はたくさんあります。
会計帳簿をつけていないとペナルティに科せられる可能性もあるので、面倒だからと放置するのではなく日々の収支をきちんと会計帳簿に記入する習慣をつけましょう。
ペナルティに科される可能性がある
会計帳簿は、事業に関するお金の動きを記入する書類です。
個人事業主は、商品やサービスの売り上げ、そのために必要な経費、取引先とのやりとりなど、さまざまなお金の管理をしなければなりません。
2014年以降、すべての個人事業主に会計帳簿の作成が義務付けられています。この会計帳簿から確定申告の書類を作成しますが、万が一不備があった場合は会計帳簿を税務署に提出しなければなりません。
その際に会計帳簿を提出できない、作成していないことが発覚すると重加算税が科せられます。
また、収支を隠ぺいするために会計帳簿を作成していないと判断された場合はさらにペナルティとして基本の税額から4割り増しの税金の支払いを命じられることもあります。 さらに、会計帳簿がないことが発覚すると青色申告事業者認定の取り消しの対象にもなります。青色申告をしていると特別控除が受けられますが、取り消し対象になると当然その控除も受けられなくなります。
お金の流れを可視化できる
会計帳簿の作成はすべての事業者の義務ですが、ペナルティを科せられるだけでなく事業者側にとってメリットもあります。 日々会計帳簿をつける習慣があれば、事業に必要なお金の流れを可視化できます。会計帳簿をつけることで用途が不明なお金が見えてきたり、必要以上の出費が発覚したり、収益が支出よりも少ないことがわかったりなど、正確に事業にかかるお金を把握できます。
また、事業の規模が大きくなればなるほど社員のミスや不正も多くなる可能性があります。日々会計帳簿をきちんとつけていればこのようなミス、不正も早期に発見でき、事業の損失を減らしたり未然に防いだりすることが可能です。 現金での取引が多い場合は現金の管理をする人と会計帳簿をつける人をそれぞれ分担することで、より不正をしにくくなります。
会計処理のコストをカットできる
事業のお金の管理が面倒だから税理士や会計事務所に丸投げしているという企業もありますが、税理士、会計事務所との顧問契約にも費用がかかります。 日々きちんと会計帳簿をつけていればお金の管理もしやすくなり、確定申告の書類作成にも時間をかけずにスムーズに作業を進められます。 さらに最近はさまざまな会計ソフトも登場しており、お金や税金の知識がなくても簡単に会計の処理ができます。
税理士や会計事務所へ支払っている費用が高すぎることにお悩みの方は、会計帳簿を自身で作成することでコストカットができないかを考えてみてください。 また、会計ソフトを導入すればパソコンで簡単に書類を作成できるので、大量の書類を作成するための印刷費などもカットできます。
会計帳簿の2つの書き方とは
会計帳簿を作成する際は、複合帳簿と単式帳簿の2種類から選ぶ必要があります。
どちらを選んでもいいというわけではなく、それぞれに受けられる控除が変わりますので、事前にどの控除を受けたいかを決めてから複合帳簿と単式帳簿のどちらがいいのかを選びましょう。
複合帳簿の書き方
複合帳簿は、取引が発生した原因と結果を1回の取引ごとに分解するものです。
青色申告の65万円控除を受けたい場合はこの複合帳簿をつける必要があります。
簿記のスキルがなければ手書きでおこなうのは難しいですが、会計ソフトを導入することで知識がなくても簡単に記帳できます。
単式帳簿の書き方
単式帳簿は、1つのやりとりにつき1つの科目に絞り記録するものです。
複合帳簿よりも簡単で、簿記の知識がなくても手書きで気軽に記帳できます。
簡単な一方で、青色申告の65万円の控除は受けられません。
10万円控除の対象となるので、その点は注意しておく必要があります。
会計帳簿の流れや各項目の書き方を紹介
会計帳簿にはさまざまな項目を記入する必要があります。
それぞれの項目の特徴、必須ポイントについて解説するので、手書きの場合もExcelなどにまとめる場合も、これらの項目を忘れずに記入するようにしてください。
日付
その取引がおこなわれた日付を記入します。
領収書に記載されている日付けではなく実際に取引がおこなわれた日付を記入してください。
また、記入は日付順におこなうようにしてください。一度にまとめて複数の領収書を記入する場合は、最初に日付順に領収書を並べてから記入を始めると作業がスムーズに進められます。
また、同じ日付の領収書が複数ある場合は日付の欄は省略することが可能です。
勘定科目
その収支が何のための費用なのか、勘定項目を記入します。
最終的にそれぞれの項目をまとめて計算することになりますので、勘定項目は事前にいくつか決めておきましょう。
コピー用紙や文房具などは「消耗品」とする、洗剤やインスタントのコーヒーは「雑費」にするなど、まとめておくとあとから計算するときにも便利です。
摘要
摘要は取引相手や内容のことです。
同じ摘要が続く場合は省略して「〃」と記入することも可能です。
収入金額
実際に取引先から入金された金額を記入します。
現金の場合でもそれ以外の場合でも、請求書や領収書を参考に正確な数字を記入してください。
支払金額
取引先に支払った金額を記入します。
この支払金額も、現金であれ送金であれ正確な記入をしなければなりません。
残高
手元にある金額から支払金額を差し引いた金額です。
どの単位で会計帳簿をつけるかにもよりますが、一日単位であればその日の最終的な差額、月単位であればその月の最終的な差額、年単位であればその年の最終的な差額を記入しましょう。
日々会計帳簿をつけていれば月ごとの残高も計算しやすくなりますし、月ごとの会計帳簿があればその年の残高を簡単に計算できます。
【まとめ】会計帳簿をつける習慣をつけよう
個人事業主になったら覚えておかなければならない会計帳簿について、その必要性やメリットなどを紹介しました。
会計帳簿はすべての個人事業主が作成しなければならない義務がありますが、現金の流れを可視化できる、コストカットができるなどさまざまなメリットもあります。
会計帳簿をつける習慣をつけることで、確定申告の時期にも焦ることなくスムーズに書類の作成ができます。自分がどの控除の対象になっているかを考えた上で、複合帳簿、単式帳簿からふさわしい会計帳簿を見極め、日々帳簿に記入する習慣を身に着けましょう。