税理士の将来性はある?求められる人材になるために必要なスキル

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税理士を目指していて、税理士の仕事の現状や将来性が気になるという方は多いでしょう。AIに仕事が奪われるのでは、などという噂もありますが、噂の真相を知ればより安心して税理士を目指せるはずです。本記事では税理士の現状や将来性について説明し、どうすれば適応できるのかを解説します。
税理士は将来的に税金の計算にとどまらず、広く手腕を発揮できる場が増えてくるといわれています。 税理士を目指していて、税理士の将来性や現状、今から税理士を目指すメリットなどが気になるという方は多いでしょう。
本記事では、今後の税理士に求められるスキルについて解説します。
税理士の将来性はある?現状や懸念点
税理士を目指す方であれば、税理士の将来性は気になるところでしょう。 税理士の現状や、今後懸念されることについて見ていきます。
AIに仕事を奪われる?
将来的に税理士の仕事はAIに奪われる、という噂を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。この噂は実は半分が本当で、税理士の仕事の中で入力業務などの事務作業はAIにできる仕事なのです。しかし、この事務作業は会計事務所によってはアシスタント職が担当している業務なのです。AIが事務作業を担当するようになれば、税理士は事務作業から解放され、本来の税理士業務に専念できます。
つまり、税理士はAIによって仕事を奪われるのではなく、効率的に仕事ができるようになるのです。
取引先が個人の現状
個人のクライアントの依頼は、確定申告が行われる2月から3月にかけて集中します。個人の確定申告は時期が決まっており、分散させることができないためです。
個人事業主の場合は法人と異なり、会計システムで自動的に集計ができているケースは珍しく、1年分を入力して消費税や所得税の計算や確定申告の書類の作成を行わなければなりません。個人のクライアントを多く持つ税理士の場合、2月と3月は多忙を極めます。
取引先が法人の現状
法人の取引先は中小企業がメインとなり、クライアントを訪問して会計システムの仕訳入力の確認などを行います。以前は事務所に持ち帰って入力することも多かったのですが、現在ではクライアントが入力したものを確認するケースが増えてきています。
税理士が必要とされる理由
日本は税制が複雑で、消費税や所得税のほかに法人税や相続税など多岐にわたっています。種類の多さだけでなく、収入が多い場合には多くの税金を負担して、少ない場合には免除されるなど税制は複雑化の一途をたどっているのです。税制が複雑なために、専門的な知識を持った税理士が必要とされています。
今からでも税理士を目指すメリットとは?
税理士試験に合格することは簡単なことではありません。そのため、これから税理士を目指す場合、メリットがあるのか気になる方もいらっしゃるでしょう。 ここでは、税理士を目指すメリット3つと税理士になる方法を紹介します。
1. 有資格者の推移
日本税理士連合会によると、令和3年9月の税理士登録者数は79,805人となっています。[注1] 登録者数は年々増加してきている一方で、税理士試験の受験者数は減少傾向です。
税理士の国家試験に合格して税理士になる人が減り、税務署OBなどの試験免除者が増えてきています。実情としては、若年者層が少なく、中高年者層が多いことを表しており、この傾向は今後しばらく続くでしょう。 これからの税理士は、税金の計算よりも経営アドバイザーといった側面が求められてきていることもあり、若年層に活躍のチャンスがあるといえます。
[注1]日本税理士連合会・税理士登録者数
https://www.nichizeiren.or.jp/cpta/about/enrollment/
2. 税理士の平均年収
税理士の平均年収は、800万円から1,000万円ほどです。企業の社員である税理士も含めた平均年収なので、個人で独立している税理士の場合は1,000万円以上の年収を得ることも可能です。 独立すれば税理士としての資質のほかに、経営者や営業での資質も必要になります。資質が備わっていれば、平均年収の何倍も稼ぐことも可能です。
3. 独立の可能性
税理士は独立しやすい業種といえます。税理士は公認会計士と比べて独立志向の人が多いといわれていますが、これはクライアント層の違いにも現れています。
公認会計士のクライアントは上場企業がメインとなりますが、税理士のクライアントは個人事業主や中小企業です。日本の企業のほとんどは個人事業主と中小企業だということからも、クライアント数の違いは歴然としています。 また、上場企業はチームで対応することが一般的ですが、個人や中小企業はひとりで担当することがほとんどです。このことからも税理士は独立しやすいことがわかります。
税理士になるには
税理士になる方法は以下の通りです。
- 税理士試験5科目に合格
- 税理士試験3科目合格し、大学院修士号取得・論文提出にて2科目免除
- 税務署OBによる税理士登録
難易度は税理士試験5科目に合格する方法が圧倒的に高く、難関科目を免除されるために大学院を選択するケースも見られます。
これからも求められる税理士に必要なスキル
以前は税理士といえば計算のプロというイメージが強かったのですが、最近では計算の自動化がすすみ、税理士の業務の中心が計算から経営のアドバイザーに変化してきています。業務の変化にともない、必要とされるスキルは変化してきているのが現状です。
これからの税理士に必要なスキルを解説します。情報整理力
日本の税制は複雑なので、多くの情報を整理して法律に沿って的確な判断を行わなければなりません。そのためには、法改正などを細かくチェックし、必要な情報を分かりやすく整理しておかなければなりません。情報をうまく整理して必要な情報を取り出す、情報整理力が必要です。
分析力
税理士の主な業務である経営のサポートは、会計帳簿などのデータから仮説を立てて、解決するべきことに対して対策を考えて、実行した後には結果を検証するということが繰り返されています。数字から顧客の状況を分析しなければならないので、分析力や推理力が求められます。
向上心
近年、消費税が8%から10%になるなど、制度の変更が記憶に新しいでしょう。このような制度の変更は頻繁に行われていて、変化する税金の計算にも対応しなければなりません。税理士の仕事は資格取得のための勉強も大変ですが、資格取得がゴールではなく、常に勉強が必要なのです。
また、会計ソフトやWebツールなど、新しいシステムに対応することも求められます。勉強を続け、常に情報をアップデートしていける向上心が必要です。責任感
税務のプロである税理士は、法人や個人の納税をサポートすることが大切な仕事です。税金の計算や書類作成を代行して、申告漏れや脱税が起こらないようにクライアントを守らなければなりません。税理士にとって責任感は重要なスキルといえるでしょう。
また、社会保障制度は納税によって支えられています。クライアントを守り、正しく納税することが国民や国の利益につながるため、やはり責任感が必須です。
社交性
税理士は法人や個人、さまざまな業種の顧客との付き合いがあります。知らない世界を見られる反面、さまざまな業種の事業内容や経営課題などを理解しなければなりません。
また、税理士は多くのクライアントと信頼関係を築くことを求められるため、社交性を磨かなければなりません。近年、税理士は税金の計算だけでなく、経営アドバイザーとしての役割も果たします。そのため、税理士には経営者にとって有益な情報を提供し、相手に合わせて会話を楽しめる引き出しの多さも必要なのです。
税理士の現状や将来性を知り、適応できるスキルを磨こう
税理士の現状や将来性を知れば、挑戦する価値のある仕事であると考えられるでしょう。
今後はより専門性が高く、質の高い業務が増えることが予測されます。語学力や社交性などスキルを磨き、自分の強みを活かした税理士を目指してください。